寝台特急「日本海」に乗り込み遠路青森へ。
南八甲田の山間にひっそりと佇むランプの宿を目指す。
雪深い山間、枯れ木に雪の花が咲く。
雪は白い、と言うより青に近い。
ランプの宿は電気がない。
テレビもラジオも遊戯施設も自販機も、喧騒と呼べるその全てのものがない。
泊り客は近くを流れる青荷川のせせらぎと、時折ドサッと木を揺らし落ちてくる雪の音を聞きながら温泉に浸かり、部屋に戻り、また温泉に浸かる。
あくる日は弘前から鉄道を乗り継ぎ津軽五所川原から金木へ。金木には太宰治の生家が「斜陽館」として保存公開されている。
乗り込んだ津軽鉄道は冬場だけストーブ列車を走らせている。
昭和初期を思わせる古びた客車に石炭を燃料とするだるまストーブが燃え金網にはするめが香ばしい匂いを出している。
乗客は地元の人より観光客が多い。
するめを焼くのも観光客向けのパフォーマンスの一つである。
存続が危ぶまれているローカル線の懸命さが胸を打つ。
車窓には収穫を終えすっかり枯れ木になってしまったリンゴ園がどこまでも続いている。
日本の地方の何処か懐かしいこのような光景を採算が取れないからと鉄道の廃止に追いやってはならない。
現代は早く快適に便利にと、目先のことだけに邁進しているような気がする。
心の原風景とも言えるべき、心のふるさとを失くしてしまってはならない。
写真はランプの宿、携帯電話付属カメラで撮った。

0