旅は「心の皮むき」と何方かが言われた。
たまねぎの皮をむくように自分の心に在るわだかまりが一枚一枚剥がされていく。
車窓に映るあの街この街、人がいて暮らしがあって様々な人生が繰り広げられている。
JRきのくに線、白浜を越えたあたりで一人の乗客が若い運転士に尋ねた。
普通車は各駅に止まり長い時は10分ほど特急列車の通過待ちをする。
乗客は初老の女性で他府県からやってきて娘夫婦の家を訪ねるも街の名前しか分からず携帯も持ち合わせず連絡のつけようがない。
若い運転士は待ち合わせの時間に一緒に駅に降りて電話ボックスまで行き、目的の駅の駅員に老婦人の案内を頼んだ。
老婦人は若い運転士の親切に喜んだ。
私はそれらの光景を一部始終見ていた。
乗客もほとんどいないローカル線だからそのような光景に出くわすのか、駅を降りても人家が少なく廻りは田んぼと海と山だけ。
人に出会う頻度が少ないから出会った人に後悔のないように精一杯の対応ができるのであろうか、口先で簡単に片付けてしまいがちな都会の生活の中にあって心は声無き叫び声をあげている・・・・・
旅は「心の皮むき」である。
写真は信楽高原鉄道


6