寝台特急「日本海」がこの春のダイヤ改正で廃止になる。
65年の歴史が終わる。またひとつ、「昭和」が消える。
私にとって初めての遠距離の旅をくれた唯一の列車だった。
子育てに追われる頃は大阪を出た事もなかった。ようやくここ数年、時間と経済的ゆとりが雀の涙ほど出来たので、かねてから行きたかった青森を目指し数回「日本海」の乗客となった。
青森は書籍でしか会った事のない「二人のシュウジ」津島 修治(太宰治)・寺山修司の里、10代の頃より強烈に私の脳裏に青森への憧憬を文面によって植えつけてくれた。
「津軽」や「恐山」と聞くと私の胸は高鳴った。
大阪駅を夕暮れに出ると延々15時間を経て、終点青森には翌日の昼前に着く。
空路や新幹線では味わうことが出来ない質素で簡素な列車旅である。「日本海」にはトワイライトエキスプレスのような豪華な設備は何一つない。名の通りただひたすら日本海側を北上する。
年末には切符を取るにも困難があるほど乗車率が高いように思ったが、時代は速さや便利さや快適と豪華さを優先するのか、時代はというより旅客会社の商戦でもあるのだろう。
採算が取れない路線はどんどん廃止になる。歴史あるひなびた駅舎が取り壊されて行く。なんとも心残りを覚えるが静かに受け入れなければならないのだろう。
寝台特急「日本海」2012年3月16日ラストラン。


3