ダークナイト ★★★★★
アクション映画、いくらでも深読みができそうな骨太ドラマ、凶悪犯罪。今バットマンは、映画古来の凄さを取り戻した。『羊たちの沈黙』にバットマンがでてくるようなとてつもない映画の誕生だ。
間違いなく傑作。
いったい何が正義なのか?悪とは?犯罪とは?ヒーローとは?家族とは?
正しいことをする人間にも心の奥には狂気が秘められており、犯罪者にだって正義の心がある。
ただ、バットマンというヒーローの登場によりジョーカーという絶対悪が誕生してしまう。
バットマンはジョーカーを殺せないし、ジョーカーだってバットマンが存在しなければただの人間。
どうやってジョーカーを倒せるのか?
結局バットマンはおせっかいなのである。
警察に任せればいいことにわざわざ干渉する。勿論、腐敗しきった警察にそういったおせっかいというものは必要なのだ。
これは我々が生きている現実世界にも同じことが言える。
世界の警察アメリカは各国の事態に干渉しようとする。別にそれが間違っているとも正しいとも言えない。
ただ、批判への立ち向かい方が決定的に違う。
真に人々を思うのであったらどう行動すればいいのか。その答えは劇場で。
絶対的な悪を見事に演じきったヒース・レジャーに最大限の賛辞を送りたい。人間の狂気の塊のような役を完璧に演じてのけたのである。これは『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターのように伝説の悪役として語り継がれることになるだろう。
バットマンとブルースウェインという2面性を持った人間が自分の心の中の狂気と戦うという、これまた難しい役を演じたのはクリスチャン・ベール。
彼もまた新しい次元のヒーローを見事に演じた。
この作品に登場する俳優があまりにも凄すぎて、一人一人書いていたら全員「見事だった」になってしまうので割合するが、もう凄すぎて涙が出るほど重厚な演技合戦だった。
ただひとつ言っておくと、レイチェル役のマギー・ギレンホールは演技はうまかったけどイマイチ可憐さに欠ける。『バットマン ビギンズ』の時のケイティ・ホームズの方が可愛らしくてよかった。
アーロン・エッカートのトゥーフェイスも良かったが、個人的には『サンキュー・スモーキング』のときのような口がうまい男として描いてほしかった。
彼の最大の見せ場はジョーカーによって、自分のもうひとつの人格を呼び起こされるところだろう。
そしてこの作品のもうひとつの魅力とは骨太はアクションシーンだ。
本当にビルを木っ端微塵に爆破したり、高速道路を貸しきってカーチェイスをしたりと、アメコミヒーローというものに確かな現実感を与えている。
格闘シーンはまだまだツメが甘い気はするが、ダイナミックなアクションはすばらしい。
最後に、バットマンに最大級の現実を与え、極上の犯罪ドラマとして、アクション超大作として完成させたクリストファー・ノーランに最大限の賛辞を送るとともに、伝説になってしまったヒース・レジャーを追悼したい。

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