産経新聞
米、完黙「6カ国」配慮 イスラエル軍機シリア空爆
【ワシントン=有元隆志】イスラエル軍機によるシリア空爆の情報をめぐって、しきりに流れる米国内報道は多 分に、北朝鮮の協力による核開発の阻止が狙いだったという見方に傾いている。だが、イスラエル政府も、情報を共有しているとされる米政府も公式には完黙し ていて、真相や詳細は判然としていない。米政府は、27日の再開が21日に発表された北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に影響を与えることを懸念している とみられ、協議の場でも疑惑を直接は提起しないもようだ。
21日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は複数の米政府筋の話として、シリア空爆が核開発にかかわる北朝鮮要員がシリア国内にいることを示す情報を得て行われたと報じた。情報は米政府も共有していたという。
また、米ABCテレビも20日、米消息筋の話として、9月3日に北朝鮮の船舶が「核計画のための物質」をシリアの港に運んできたと報道した。
同紙が伝えたシリア国内における北朝鮮要員の存在については、センメル米国務次官補代理代行(国際安全保障・軍備管理担当)も14日、「外国の技術者が何人かシリア国内にいる。北朝鮮の人たちもいることは間違いない」と認めている。
ただ、北朝鮮情勢に詳しい情報筋は「核専門家ではなく、これまで北朝鮮とシリアの弾道ミサイルでの協力関係から、ミサイル技術者だった可能性もある」と語り、核絡みだったかどうかは今ひとつ不明な部分もある。
公式の政府発表は今回の事態を表面化させた、「イスラエル空軍機が領空を侵犯した。その際、燃料タンクが落下した」とのシリアのもの、そして、「(空爆は)主権侵害であり、シリアへの全面的支持を表明する」との北朝鮮外務省スポークスマンの声明ぐらいだ。
先の消息筋は、北朝鮮が遠隔地での事態に非難声明を出した点に注目、「北朝鮮の技術者が空爆の被害に遭ったのではないか」との見方も示す。
イスラエル政府側からは、箝口(かんこう)令が敷かれているせいか一切、情報が出ておらず、同国元首相で野党リクードのネタニヤフ党首が19日、地元メディアに、「私は当初からこの件に関与しており、支持していた」と話して物議を醸した程度だ。
ブッシュ米大統領も20日の記者会見で、「一般的なメッセージとして、(北朝鮮が核を)拡散させないよう期待する」と述べ、空爆や北朝鮮のシリアへの核物質輸送などについては「コメントしない」とするにとどまった。
同紙によると、ブッシュ政権は北朝鮮がシリアの核開発に協力しているとのイスラエルの主張に憂慮はしているものの、6カ国協議への影響を懸念し、直ちに反応することは避けているという。
同政権がウラン濃縮疑惑を取り上げた結果、北朝鮮が反発して核施設の再稼働を宣言するなど事態がエスカレートした2002年10月の二の舞いを避けるた め、「米政府は個別の問題ではなく、拡散しないよう北朝鮮側に確約させることを優先させるだろう」と、複数の6カ国協議筋はみている。
(2007/09/21 23:10)
産経新聞
シリア空爆前から情報共有 米とイスラエル
イスラエル軍が今月6日にシリアの核開発関連施設を空爆したとされる問題で、核開発にかかわる北朝鮮関係者 がシリアに入国していたことなどの情報を、米国、イスラエル両国政府が空爆以前に共有していたことが分かった。21日付の米紙ワシントン・ポストが複数の 米政府当局者の話として報じた。
同紙によると、表向きは「セメント」としながら、実際は核関連とみられる機器を積んだ船が北朝鮮からシリアの港に到着したことが確認された3日後に空爆は実施された。死傷者が出るのを避けるため深夜に実行され、実際に死傷者は出なかったとされる。
米国とイスラエルはトルコ国境に近いシリア北部にあるこの施設の動向について、北朝鮮関係者の出入りを含め詳細な情報交換をしており、空爆はイスラエルと米国の周到な協力の上で実施された可能性が高いという。(共同)
(2007/09/21 21:16)