osaka in the twilight

text by Tengachaya K.K.
ブルースカード
アメリカ人はカード好きである
ベースボールカードに
フットボールカード
ヒーローの印刷されたそんなカードを
夢中になってコレクションする
しかし
カードには
ボンズや
ソーサや
イチローばかりがその雄々しい姿を躍らせるのではない
ヒーロー・オブ・ザ・ブルース
ウィリー・ジョンソンの唸りも
ノア・ルイスのハープも
小さなカードに刷込まれてしまうのだ
Yazoo Record
戦前ブルースファンには
馴染み深いブルースレコードのレーベルだった
初期には
コレクターレーベル丸出しの真っ黒けのジャケットデザインで
真っ黒けのブルースをセッセと発売していたが
その頃アメリカで流行った Rag Time Guitar ブームに便乗し
やたらギターファンウケするご陽気Hokum ブルースばかりを発売し始めて当初の魅力を失ってしまったレーベルである
ま
でもその系統のレコード売って
えらい儲かったんでしょうな
Yazoo のジャケットを
多く手がけていた Robert Crumb ゆうニイチャンが
渾身の情熱と怨念を傾注し
いろんなブルースマンを描きまくり
カードセットとして配りよったんがコレですわ

全36枚
裏にはそのブルースマンの簡単なプロフィールと
ブルースマンNo.が印刷されていて、
不世出のブルース博士を養成するための
幼児教育にはもってこいの逸品である。
20年前
ニューヨークのグリニッジビレッジをウロついてたら
「Rare Records」という珍品中古レコードの専門店を発見
当時
日本では聞く機会もなかったブルースのレコードもゴロゴロ転がってました
で
Lightnin' のレコードを何枚か抱えてレジへ行ったら
腰まで毛のあるニンチャンが
「ワレ、どっから来てん」
と聞きよるので
「日本や。大阪や。知らん? ニア京都や」
と答えると
「ワレ、ブルース好きなんけ」
と聞きよるので
「そや。そやったらどやっちゅうねん」
と答えると
「これやるわ。持ってけアホンダラ」
と
小汚い私を哀れんで放り投げてくれたのが
この「HEROES OF THE BLUES」なのです
近所のマクドナルドでハンバーガー喰いつつ
レコード袋から取出して改めて眺めたら
その短絡的ネーミングに思わず赤面してしまったのをおぼえてます
因みに
このカードセットには Robert Johnson は含まれていない
そう
未だかの写真が発見される前の発売だったからである
残念というよりは
こんなところにも顔を出していないのは
流石に悪魔に魂を売っただけのことはある
どこまでもブルースなお人だ
4 May 2002
Tengachaya.K.K.