ラビリンスからの挑戦状
その内容は、裏切り者イースと、スウィーツ王国の王子タルトの公開処刑
日時場所は明後日の正午、横浜みなとみらい
翌日
ラブ、美希、祈里、そしてミユキの4人がラブの部屋に集まっていた
隣の部屋のがらんどうな雰囲気が、主のいなくなった事を如実に物語っていた
ミユキがみなとみらいの地図を開き、戦略を説明する
「明日の正午、恐らく処刑の地はこの新港ふ頭のあたりよ。
・・・ここなら平地が多いし、みなとみらいの全景をバックに処刑を執行出来るわ」
祈里が手を上げた
「海に囲まれている・・・もし海からソレワターセを出されたら・・・」
「その通りよ。罠に掛けられたら逃げようがないわね。」
「あたし達にはもう武器が無いのに・・・」
「美希ちゃん、その件だけど・・・」
ミユキが説明を始めようとしたその時だ
「ちょ・・・ちょっとあなた誰ですか!?うちの娘の何なんですか!?」
ラブの母あゆみの怒鳴り声が耳に飛び込んだ
慌てて4人は階段を駆け下りる
「・・・いや、何なんだと言われましても・・・私はただのドーナツ屋でして・・・」
紫の服に黄色いエプロン、サングラス、そして3つの風呂敷
そんな姿の男が突然、年頃の娘に会いにやってきたのなら、警戒するのも無理は無い
「わけのわからない事を言っていると、警察呼びますよ!」
「待って!お母さん!!」
ラブの金きり声であゆみは振り返る
「その人は怪しい人じゃないよ!」
「怪しい人じゃない・・・って・・・この人・・・が?」
もう一度、全身を見るあゆみ
やっぱり不信感は拭えない
苦笑いする男
「その人の身元は私が保証します。」
助け舟を出したのはミユキだった
「ミユキちゃんがそう言うのなら・・・」とあゆみは渋々男を家に招き入れた
ラブの部屋に集いしは5人
ラブ、美希、祈里、ミユキ、そして・・・
「カオルちゃん、よくここにいる事・・・ていうか、よく私の家がわかったのね」
とラブが尋ねると、カオルは担いだ風呂敷の一つを指差した
「・・・こいつらに聞いたのだ」と
ドガッ!
風呂敷の中に『細長い棒状のもの』が複数詰められているのが見て取れた
「「「ま・・・まさか!?これは!!」」」
ラブ、美希、祈里3人が声を揃えて叫んだ
「・・・そうだ!こいつらは俺の下へ来ていたんだ。パッションハープとともに・・・!!」
あの敗北の後、大きく破損したピーチロッド、ベリーソード、パインフルート、パッションハープはカオルの下に墜落した
カオルにはすぐわかった
プリキュアが敗北した事
そして、やがてまた来る戦いの時の為に、より強い力を求めて俺の下に帰ってきたのだと・・・
ビリッ!
カオルは風呂敷を引きちぎった
姿を現したのは、完全に修復されたピーチロッド、ベリーソード、パインフルート
ラブ「こ・・・これが・・・」
美希「私たちの・・・」
祈里「復活した武器・・・」
3人はそれぞれ己の武器を手に掴む
変身していない状態ではあるものの、その手に吸い付くような感覚は、まぎれもない
カァァァァァァッ
それぞれの先端の宝玉が輝きを放つ
ロッドはピンク
ソードはブルー
フルートはイエロー
「「「ありがとう!カオルちゃん!!」」」
3人は深々と頭を垂れた
「・・・ところで、パッションハープの方も強化修復しておいたけど・・・赤いお嬢ちゃんは?」
「それは・・・」
カオルは今回の状況と作戦をミユキから聞いた
せつなとタルトがラビリンスに囚われ、明日の正午に公開処刑される事を
「けど・・・そんな最悪の状況でよく再戦を思い立ったもんだねえ。勇敢というよりも無謀という言葉が相応しいよ
・・・せっかくパッションハープを修復したのに持ち主無しとは。」
トンッ
カオルはラブの机の上に布で包まれた物体を置いた
ちらりと足元に広げた地図に視線を移す
「・・・ところで、赤いお嬢ちゃんを救出したいのはヤマヤマだけど敵の罠に飛び込むには戦力が足りないんじゃないの?」
「どういう事?」
「ミユキちゃん、この戦力ではノーザたちのソレワターセには勝てないって事さ」
「確かに・・・」
美希は唇をかみ締めた
3人ではグランドフィナーレは使えない
それどころか、ソレワターセの複数同時展開があった場合、全滅の可能性が極めて高い
「けど!そんな事いってられない!せつなを助けなきゃ!絶対に!」
ラブは奮い立つ
「・・・いいねえ、ラブちゃん。けど、思いの強さだけで何とかなるわけじゃない。現実は甘くない」
「カオルちゃん!」
祈里その言葉が気にくわず、思わず立ち上がった
「・・・祈里ちゃん、ごめんね。なにもみんなを貶しているわけじゃないんだ。」
ビリィッ
そういうとカオルは最後の風呂敷を破り捨てた
どす黒い鞘に包まれた長剣が姿を現した
その鞘にはダイヤの・・・いやむしろラビリンスのマークに近い装飾が施されてある
「・・・用心棒がいるんじゃない?って聞いているのさ」
ミユキが尋ねる
「・・・カオルちゃん・・・あなたはどうしてここまでプリキュアに協力的なんですか?あなたは一体・・・」
「さあねえ・・・けど、プリキュア達の味方をしていたら・・・退屈しないだろ?ぐはっ!」
カオルはいつものようにふざけて笑った
そして、イースとタルトの死刑執行の日がやってきた

0