「次の一手」が雑誌等によく出題されているが、実戦からの出題でしかもアマチェアの棋譜からだったりすると、不備が多い。それというのも、本当はあまりいい手ではない手を、好手にしてしまうことが多く、しかもお互いに気がつかなくて、本来悪手を好手だったと錯覚したままの場合も多い。
私の知人で東京都代表に2回もなっている、Iという男がいるが、彼は昔道場に自分の実戦の次の一手集を置いていた。ところがある時からその次の一手集が見あたらなかったので、彼に聞いたところ、不備が多く発見されたからだということだった。
東京都代表2回の彼はアマでも上のクラスと思われるが、その彼をもってしてもそういうことがある。
と、ここまでが前振りで、本題は今月号の近代将棋の附録「好手ひらめき虎の巻第二巻」のことである。これは近代将棋道場で指された、主にアマの棋譜の自選による次の一手集である。しかしながら、編集部の検討がおざなりだったとしか、言いようがないほど杜撰な内容で、半分以上が間違った次の一手である。ひとつ上げてみよう。

第6問の解答図である。(先手五一角成まで)以下一五歩、二一角、同玉、四二馬以下先手勝ちとのことであるが、この局面で三八金とされる、とどうしようもない。角を渡すと二八銀成で詰んでしまうのである。したがって先手勝ちようがないと思う。しかも問題図は三三歩と利かすのが正解で以下同桂、五一角成で解答図になるのだが、この三三歩自体も相当悪手で二五歩の突き歩詰などが発生したりする、相手の上部を厚くする手である。
他にも疑問の問題が満載されている。創作で無い次の一手は慎重の上にも慎重な検討が必要であると思う。