――――2008年12月
冷たい風の吹くさなか、今日もスパイク・ボーイズ技術開発局は新しいコンボの研究・開発に明け暮れていた。
ザマッチ 「う〜寒いッ! もうすっかり冬って感じですね、ジーク局長」
ジーク 「うむ、冬は一年の総決算。己の一年を振り返ってみるのが吉じゃぞい」
ザマッチ 「今年ですか。自分は普通でしたね。局長はどんな年でした?」
ジーク 「わしは多忙な一年じゃったな。そのせいで今年は日本選手権に参加できなかったのが心残りじゃったが、それでも良い一年じゃったと思うぞ」
ザマッチ 「そういえば局長。今年の日本選手権では《草夾竹桃》を使った無限コンボデッキがあったじゃないですか」
ジーク 「ほほぅ」
ザマッチ 「『ほほぅ』…じゃないですよ! これは余所の研究所にうちのお株を持っていかれたってことですよ! 自分、めっちゃ悔しいですよ!」
ジーク 「まあまあ、そう熱くなるでない。そんなことでは副局長は務まらんぞ」
ザマッチ 「だってー」
ジーク 「それにわしとて何もせずただ手をこまねいていたわけではない」
ザマッチ 「えっ、それってどういう…」
ジーク 「ほっほっほ。つまり無限コンボは《草夾竹桃》だけではないということじゃ」
ザマッチ 「な、なんだってー! さすが局長! 俺達にできないことを平然とやってのけるッ! そこにシビれる!憧れるゥ!!」
ジーク 「《ゴー・トゥ・ヘブン》は知っておるな」
ザマッチ 「えーと、W−1で登場した白の結合ユニットですよね。自分は《総司令ベリアル》のほうが好きですが」
ジーク 「そうじゃ。では《絶対不戦能力》というカードを覚えておるか」
ザマッチ 「…………何でしたっけ? そのカード?」
ジーク 「ばかもーん! そんなことでは無限コンボの研究は勤まらんぞー!」
ザマッチ 「す、すみませーん(汗)」
ゴー・トゥ・ヘブン(W−1) ユニット ゴーレム クイック 使用コスト:白2無6 移動コスト:白1無2 パワー:7000 スマッシュ:2 このカードがプレイされてスクエアに置かれた時か結合されてスクエアに置かれた時、バトルスペースのスクエアにこのカードがあるならば、あなたはバトルスペースのスクエアにある対象の相手のユニットを1枚まで選び、このカードのあるスクエアにリリース/フリーズ状態を変更せずに置く。 このカードが攻撃された時、ターン終了時まで、このカードのパワーを+1000する。 |
零号機の福音書(W−1) ストラテジー リンク クイック 禁呪3 使用コスト:白2無2 パワー:(8000) スマッシュ:(2) あなたは自分の手札かプランゾーンにある「ゴー・トゥ・ヘヴン」を1枚選び、自分のユニットのない自軍エリアのスクエアにこのカードを結合しリリース状態で置く。 このカードと結合しているユニットのパワーとスマッシュを□内のデータにし、以下の能力を与える。『このカードが中央エリアか敵軍エリアのスクエアに置かれた時、バトルスペースのスクエアにこのカードがあるならば、あなたはバトルスペースのスクエアにある対象の相手のユニットを1枚まで選び、このカードのあるスクエアにリリース/フリーズ状態を変更せずに置く。』 |
絶対不戦能力(V−1) ストラテジー クイック 使用コスト:白1無1 あなたはバトルスペースのスクエアにある対象の自分のユニットを1枚選び、ターン終了時まで、以下の能力を与える。『このカードが攻撃された時、あなたはこのカードをこのカードと隣接する自分のユニットのないバトルスペースのスクエアにフリーズ状態で置く。』 |
ザマッチ 「なるほどー つまり、結合状態の《ゴー・トゥ・ヘブン》に《絶対不戦能力》を使用することで「引き寄せる」→「逃げる」→「引き寄せる」→「逃げる」の無限ループが発生するんですね」
ジーク 「そうじゃ。その名も
不戦ヘブン。よくこれだけの情報でわかったのぅ」
ザマッチ 「いや〜、そんな褒めないでくださいよ。照れるじゃないですか〜」
ジーク 「ではこの不戦ヘブンから得られるものとは何じゃ?」
ザマッチ 「えっ! えー、えーと………《ヘブン》のパワーが無限に上がるから、ちょっぴり幸せな気分になれる…とか?」
ジーク 「その答えじゃと30点じゃな」
ザマッチ 「ぐはっ、いきなり赤点ですか…。うーん、でもそれ以外に自分には思いつきませんねー」
ジーク 「まったく、仕方のないやつじゃのぅ。答えを聞くか?」
ザマッチ 「はい…出来の悪い研究員ですみません…」
ジーク 「では答えを言うぞ。まず、おまえさんの言うように《ヘブン》のパワーが無限大になるな」
ザマッチ 「そうですね。『攻撃されたらパワー+1000』が無限回誘発しますもんね」
ジーク 「そして、その無限大になった《ヘブン》で相手のユニットをなぎ倒してゆけばよいのじゃ。そうすれば相手のユニットはほぼ全滅する」
ザマッチ 「えっ? でも《絶対不戦能力》の強制効果で《ヘブン》は攻撃されたら逃げなければならないんですよね? なら相手のユニットを倒すことはできないじゃないですか」
ジーク 「やはりまだまだおまえさんは若いのぅ。もう一度《絶対不戦能力》のテキストを読みなおすがよい。『隣接する自分のユニットのないスクエアに置く』と書いてあるであろう。つまり、隣接する相手のユニットがあるスクエアに置けばバトルで相手ユニットを倒すことができるのじゃ」
ザマッチ 「な、なんだってー! こいつ絶対不戦なのに戦っちゃってもいいんですかー!?」
ジーク 「表向きでは絶対不戦と謳っておきながら、実は好戦的。きっと白の聖王は腹黒い人なんじゃろうな」
ザマッチ 「なるほど。女性は外見で判断できないということですね。さすが局長。勉強になります」
ジーク 「おなごとはまことに度し難きものじゃ」
ザマッチ 「そういえば、局長。さっき「ほぼ全滅」って言ってましたよね。あれってどーゆー意味ですか?」
ジーク 「おお、まだその説明をしておらんかったの。このコンボが決まれば相手のユニットはほぼ全滅する。しかし、どうやっても相手のユニットを1体だけ場に残してしまうのじゃ。《絶対不戦能力》の誘発時、必ず同じスクエアに相手のユニットがおる。しかし、《絶対不戦能力》の効果では同じスクエアにいるユニットに攻撃することはできない。だから1体だけ相手のユニットが場に残ってしまうのじゃ」
ザマッチ 「なるほど、そういうことでしたか。でも、たくさんいる相手のユニットを1体に減らすだけでも十分でしょうね。しかもその1体を選ぶのはこちら側なんですからこのコンボの価値は大きいはずですよ」
ジーク 「まったくじゃ。ところで聞くが、おまえさんはこの話を聞いてまだ《ヘブン》より《ベリアル》が好きだなんて思っておるか?」
ザマッチ 「やだな〜局長。自分は最初から《ヘブン》派ですよ〜」
ジーク 「………………。」
ザマッチ 「あれ? どーしてそんな顔しているんですか、局長?」
ジーク 「ふぅ、もう良い。話を進めるぞ。ここからが発展編じゃ。このコンボをさらに突き詰めるとしたら、おぬしならどうする?」
ザマッチ 「そうですね。自分なら《妖魔の勇者》や《妖魔の使者》を使います。こいつらと組み合わせれば相手の全エネルギーを縛れるので、決まれば絶対強いですよ」
ジーク 「つまり、『相手のユニットが置かれた時に誘発する』ものを使うというじゃな。そのシリーズは他に何がある?」
ザマッチ 「そうですね。《人生保存サイト》で無限ドローなんて面白そうだと思います」
ジーク 「他には?」
ザマッチ 「あっ、そう言えば《茸の森》なんてどーです? 無限エネルギーになるので、このコンボがただのコンボから1ターンキルのコンボに格上げされますよ」
ジーク 「おまえさんもそう思ったか。わしも最初そう思ったが、残念なことに《茸の森》では無限エネルギーにならんのじゃよ」
ザマッチ 「えっ、なんでですか? 無限回相手のユニットが移動するんですから無限エネルギーになりますよね?」
ジーク 「そう思いたくなるのもわかる。じゃが基本に戻って考えるのじゃ。攻撃された時に《絶対不戦能力》の効果で《ヘブン》が動き、《ヘブン》が動いたことで新たなバトルフェイズが発生する。そのバトルフェイズ中にまた《ヘブン》が動いて新しいバトルフェイズを発生させる。つまりバトルフェイズ中にバトルフェイズが発生するという現象がエンドレスで行われるのじゃ。そして、そのことに満足したら最後に『《ヘブン》の任意能力を使わない』ことを選択し、順番に全てのバトルフェイズを解決する。ここで一つのバトルフェイズを解決するたびに《茸の森》の効果を解決するわけじゃが、一つのバトルフェイズが終了してもその一つ前のバトルフェイズ中に戻っただけなのじゃ。つまりクイックタイミングのカードが使えない=バトルタイミングのカードしか使えない状態なのじゃ。現状のカードプールではバトルタイミングのカードだけで1ターンキルをするのはおそらく不可能。じゃから《茸の森》で1ターンキルをするのは無理なのじゃ。それでも全く方法がないわけではない。フリーズ状態の《ヘブン》を動かす方法があれば無限エネルギーにすることは可能なのじゃ。現状で思いつくのは《機械竜ラルゴ》、《深淵竜エメラルド・ティアー》、《サンダーベア》、探せばもっとあるかもしれん。それらを使えば無限エネルギーになるが、そこまでするのは現実的とは言えん。成功率が低いのは火を見るより明らかじゃ。無限エネルギーは諦めて手堅いコンボにしたほうが賢いと言えるじゃろう」
ザマッチ 「…………zzz」
ジーク 「って、おい! 聞いておるのか!」
ザマッチ 「……んぁ? あっ、おはようございます」
ジーク 「聞いてなかったな」
ザマッチ 「すみません、ついうとうとしてしまって」
ジーク 「ばかもーん! と言いたいところじゃが、わしも話を長くし過ぎた。すまなかったの。要約すると、《茸の森》を使っても《フェアウェル・パーティ》程度にしかならないということじゃな」
ザマッチ 「なるほどなるほど。たぶんわかりました!」
ジーク 「本当にわかったんじゃな?」
ザマッチ 「当たり前じゃないですか〜 」
ジーク 「いい返事じゃ。ならばおまえさんに一つ仕事じゃ。さっそく結合ヘブンでデッキを作ってみるのじゃ」
ザマッチ 「嫌です! そんなデッキで勝てるわけないじゃないですかぁあああ!」
ジーク 「ずべこべ言わずに作れぇえええ!!」
不戦ヘブン
| 青 ユニット |
| W−1 | U | 濃霧の魔氷フォッグ | 1 |
| 青 ベース |
| U−4 | U | 人面鳥の止まり木 | 3 |
| V−1 | U | 人生保存サイト | 2 |
| 青 ストラテジー |
| U−1 | R | サイバー・チェイス | 2 |
| V−1 | C | 益々繁盛 | 3 |
| 白 ユニット |
| U−3 | U | ペガサス・ポニー | 3 |
| W−1 | S | ゴー・トゥ・ヘブン | 3 |
| 白 ストラテジー |
| U−3 | C | 機械竜輝く | 3 |
| V−1 | U | 絶対不戦能力 | 3 |
| W−1 | U | 零号機の福音書 | 3 |
| 緑 ユニット |
| V−1 | U | スカラベマスター | 3 |
| U−1 | C | 妖魔の使者 | 3 |
| U−1 | R | 妖魔の勇者 | 2 |
| 緑 ベース |
| V−1 | U | 茸の森 | 3 |
| 緑赤 ユニット |
| V−1 | U | ファンシーカット・ペリドット | 3 |
<次回予告>
試行錯誤の末、ついに不戦ヘブン零号機を完成させるザマッチ。
そのデッキで公認大会に参加することを決意する。
発動するコンボ。暴走する零号機。青年は戦いの果てに何を求めるのか。
次週、『進め!スパイク・ボーイズ技術開発局!』
第3話、『おまえは今まで発生したバトルフェイズの回数を覚えているのか?』
また見てギアス〜
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ジークのOS ブログ出張所(
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